第3章 致死量ラブアンドピース
「やっぱり部屋にもテレビほしいな」
「前使ってたやつ、持ってこなかったの」
「広いリビングとおっきいテレビが嬉しくて実家にあげちゃったんですよね」
「あー望月、コーヒー?お茶?それともビール?」
「ビールと言いたいところだけど、お茶で我慢します」
「はいよ」
夕飯終わり、シンクに溜まった食器の最後の1枚をラックに伏せたタイミングで、起動したサブスクと大画面に映るそれを見た彼女がぼそっと溢す。
グラスにお茶を2つ入れて、あと2日残ってる勤務を思えば望月の判断は賢明だが、これが外だと当たり前にタガが外れるから怖い。
奮発して購入した、4人はゆうに座れるソファの真ん中、膝を抱えていた彼女が俺に気づいて1番端にずれた。
「どーぞ」
「ありがとうございます」
「で?なんで部屋にもテレビほしいの」
「見ながら寝落ちって、最高に贅沢じゃないですか?」
「寝たら音気にならねえタイプ?」
「寝入ったら大丈夫ですね。夜中起きて消せばいいかなって」
「起きてわざわざ消すその行動がめんどくせえってならない?」
「んー、あんまり深く考えたことないかも」
不思議だよなと思う。
同じ苗字になって、戸籍上はちゃんと夫婦の形なのに、彼女の癖や価値観は未だ未知数だ。そう言うのも全部すっ飛ばしたんだから当然っちゃ当然で、まだ何か言いたげな横顔からは、ゆっくりと息を吐き出して意を決したようなそれに変わった。