第4章 見えている奴は、見て見ぬふりをするな。
「……やめろ」
止めるため、伝えたつもりだった。
「その姿を使うな」
「やだ」
即答だった。
「今じゃないと、ちゃんと話せない」
一歩、近づく。
ふらついている。
それでも止まらない。
「……聞いてほしい」
目が、まっすぐこちらを見ている。
逃げ場がない。
「……なんだ」
吐き出すように言う。
ヒスイは、少しだけ息を整えて。
「好き」
それだけを、言った。
余計な言葉はなかった。
飾りも、逃げも、なかった。
ただ、まっすぐ。
「……」
言葉が上手く出ない。
返せるものが、ない。
分かっている。
これは――
(……返してはいけないものだ)
「……俺は」
口を開く。
言わなければならない。
終わらせるために。
なのに。
次の言葉が、出てこない。
その間に。
ヒスイの体が、ぐらりと大きく揺れた。