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【刀剣乱舞】神様に恋した猫【完結】

第2章 かりそめの居場所(大倶利伽羅視点)


立ち上がる。

任務がある。
やるべきことは、山ほどある。
それでも。

ほんの一瞬、足が止まる。

「……また来る」

言うつもりはなかった。
だが、口から出ていた。

猫の耳がぴくりと動く。
その反応を見て、わずかに視線を逸らす。

「……勘違いするな。ただの気まぐれだ」

そう付け加えてから、背を向ける。
石段を下りる足取りはいつもと変わらない。
――はずだった。

(……気まぐれ、か)

自分で言っておきながら、胸の奥に引っかかる。
違う。
これは、気まぐれなんかじゃない。
だが――

(……それでもいい)

理由なんて、なくていい。
ただ少しだけ。
あの場所にいる間だけ。
何も思い出さなくて済むなら。

……それで十分だ。

だからまた、来る。
明日も、その次も。

何も知らない顔で、あの猫に触れる。
それがどれだけ一方的で、残酷なことかも知らずに。
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