第2章 かりそめの居場所(大倶利伽羅視点)
――静かだな。
あまりにも静かすぎる。
政府の施設は整っている。
安全も、保障もされている。
だがそれは“生きている”という実感とは別物だった。
(……全部、終わった)
守れなかった。
間に合わなかった。
あの本丸も、あの主も、仲間も。
ただ一振り、自分だけが残った。
それだけのことだ。
「……くだらないな」
吐き捨てるように呟く。
感傷に浸るつもりはない。
そんな資格はない。
政府に回収され、再編のために預けられている身。
やるべきことをやるだけだ。
――そのはずだった。
(……また、来ているな)
気づけば足が同じ場所へ向かっていた。
古びた神社。
理由はわからない。
ただ――静かだから、とでも今は言っておくか。
余計な声も、記憶も、少しだけ遠ざかる。
長い石段をゆっくり上る。
そして。
「……いたか」
いつもの場所に、小さな影。
猫はすぐにこちらに気づく。
逃げない。
それどころか、当たり前のように近づいてくる。