第5章 無重力に花は咲く
2人ともあと3時間ぐらいそうやって静かにしてて。じゃないとあっちでもこっちでも喚かれたりなんかしたら、あたしの思考回路が確実にパンクするから。
「なぁ、終わったら飯行こうぜ、腹減った」
「えー!いいなーオレも行きたい!」
「お子様は5時にはお家帰んなきゃいけねーからダメ」
「うわセコっ!てか中学生で5時に帰ってるヤツなんていないよ」
「緑川明日テストなんだろ?じゃあ帰ってからも勉強しろ」
「今花衣ちゃんに教えてもらってるからそれで十分だし!」
「ていうかうるさい!!ちょっと黙ってお願いだから!!」
「「はい」」
思ったそばから5分と持たずして、あたしを挟んで左右に飛び交うそこそこ大きな声。それを我慢して作業できる人がいるなら見てみたいわ。
なーにが終わったらメシだ馬鹿。誰のを必死に書いてると思ってんの。一度だけ白い目で睨みあげて、前かがみでパソコンに向かうあたしの少し後ろ。ソファーの背もたれに体をくっつけるみたいにしてから、コイツ切れたらかなり面倒だから気をつけろよ緑川、うんわかった気をつける。って、そう言う話しはあたしのいない所でしなさいよ。
今から2時間後、一足先に終わった駿くんを帰宅させ、そこからさらにまた2時間、漸く3分の2まで書き終えたあたしの思考は停止寸前。
隣を見れば、いつの間にか爆睡してる太刀川さんの、鼻と口を両方塞いでやりたい衝動に駆られたのはここだけの話し。