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ときメモGS

第1章 【GS1】1章_姫条まどか 愛おしいほどに


葉月side

放課後、教会の裏で彼女から「うちに来る?」と誘われた時、心臓が跳ねたのを悟られないようにするだけで精一杯だった。
『誰もいない』なんて、そんな無防備な言葉、男に言うもんじゃない。

(……いや、俺だから言ってくれたのか?)

美奈子の家で過ごす時間は、驚くほど穏やかで。
彼女が一生懸命作ってくれた飯は、胸が熱くなるほど温かかった。
「美味しい」と一言こぼすのが限界で、それ以上の言葉は喉に詰まって出てこない。
ただ、この時間がずっと続けばいいと、柄にもなく願ってしまった。

……けれど、現実は無情だ。

葉月「……そろそろ、帰る」

時計の針が九時を回った頃、俺は重い腰を上げた。
本当は、一秒でも長くここにいたい。
でも、そんな自分勝手な理屈で、夜遅くまで彼女を拘束するわけにはいかない。

夢主「あ、うん……。そうだね」

美奈子が立ち上がる。
ふと見えた彼女の顔は、どこか寂しそうで、胸の奥がチクリと痛んだ。
(……お前も、同じ気持ちなのか?)
そんな期待を飲み込んで、玄関まで歩く。

靴を履こうとした、その時だった。

――ピカッ、ゴロゴロロ!!

突然、鼓膜を震わせるような雷鳴が轟いた。
直後、叩きつけるような激しい雨音が家を包む。

夢主「嘘……、天気予報、晴れって言ってたのに」

慌てて外を確認する美奈子の横顔が、不安げに揺れている。
この雨じゃ、帰れるわけがない。
……正直に言えば、心のどこかで「これで帰らなくて済む」と安堵している自分がいた。

葉月「……困ったな」

困惑したふりをして、俺は彼女を見た。
心臓の音が、雨音に負けないくらい激しく鳴り始める。

夢主「あの、葉月くん……」
葉月「……?」
夢主「この雨じゃ、帰れないよ。……その、もしよかったら、だけど」

俯きながら、消え入りそうな声で彼女が言った。

夢主「……今日、泊まっていったら? 尽の部屋、空いてるし」

(……おい、本気か?
そんなこと言われたら、もう、引き返せなくなる。)

葉月「……じゃあ、お言葉に甘えようかな」

平静を装って答えたけれど、手足の先が熱い。
この後の展開なんて、想像しただけで理性が焼け切れそうだった。
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