第1章 【GS1】1章_姫条まどか 愛おしいほどに
夢主side
カーテンの隙間から差し込む朝日に、重い瞼を押し上げた。
夢主「……ん……っ」
体を動かそうとして、自分の腰に回された腕の重みに、心臓が跳ね上がる。
(……あ、そうだ。……夢じゃなかったんだ)
すぐ目の前には、スースーと規則正しい寝息を立てる葉月くんの寝顔があった。
いつもはクールでどこか遠い存在に見える彼が、今は私の布団の中で、無防備に髪を乱して眠っている。
昨夜の出来事が、フラッシュバックのように脳裏をよぎった。
重なり合った体温、耳元で囁かれた低い声、そして……。
思い出しただけで顔が火を噴きそうに熱くなる。
(……私、本当に葉月くんと……)
じっと見つめていたら、彼の長い睫毛が微かに揺れた。
葉月「……ん……美奈子?」
寝ぼけ眼の彼と、至近距離で視線がぶつかる。
夢主「お、おはよう……葉月くん」
葉月「……おはよう」
彼は少しだけ腕の力を強めて、私を自分の方へ引き寄せた。
首筋に彼の額が当たって、くすぐったい。
葉月「……まだ、こうしてていいか」
夢主「……うん」
学校に行かなきゃいけない時間なのはわかっている。
でも、この石鹸の匂いと彼の体温に包まれている時間が、あまりにも幸せで。
このまま世界が止まってしまえばいいのに、なんて、昨日と同じことを願ってしまう。
しばらくして、彼は名残惜しそうに体を離すと、ベッドの端に腰掛けた。
お父さんのTシャツの襟ぐりが少し伸びて、彼の綺麗な鎖骨が見える。その首筋に、私がつけたわけじゃないけれど、どこか「昨日の名残」があるような気がして、また視線を逸らした。
葉月「……一緒に行こ。学校」
夢主「えっ、でも、葉月くん一度家に帰らないと……」
葉月「いい。……一緒に、行きたい」
ぶっきらぼうに言われたその言葉に、胸がキュッとなる。
昨日の雨が嘘みたいに晴れた空。
二人ではば学の校門をくぐる時、どんな顔をすればいいんだろう。
(……にいやん、とか、みんなにバレたらどうしよう)
不安はあるけれど、隣で私の手をぎゅっと握り直してくれた彼の体温が、何よりも心強かった。
葉月「……行こうか」
夢主「うん!」
秘密を共有した二人の、新しい一日が始まろうとしていた。