第2章 壱 かぶき町
その日、かぶき町には朝からパトカーのサイレンの音が辺りに響いていた。
沖田「今週だけで辻斬り六件目ですかィ。一体何事なんでしょうねィ。」
土方「全くだ……しかも全員被害者は攘夷浪士、傷口の刃型も同じ。連続殺人に違いねぇ。」
沖田「俺のヤマだと次の被害者は土方さんでさァ」
土方「オイイィ何で俺が斬られんだよ!!!そのヤマだと犯人は俺ですっていってるようなもんだろが総悟!」
山崎「副長!!目撃情報がありました!」
沖田を叩こうとしていた土方は、手を止めた。沖田が舌を出してニッと笑っている。
土方「チッ……なんだ」
山崎「目撃者によると、犯人は2本の刀を所持していて、相当な手練れのようです。」
土方「2本か……そりゃ弱くはねェだろうな。」
山崎「しかも……黒髪を耳のしたで2つに結っていて、着物は丈の短い女物だったそうです……」
山崎の言葉に、土方は思わず聞き返した。
土方「なに、女ってことか?!」
山崎「体格や、かすかに聞こえた声も、女としか考えられないものだったそうです……
土方「……山崎、更に情報がないか調べてこい」
山崎「はいッ」
沖田がまた土方の横に歩みより、土方と一緒に駆けていった山崎の背中を眺めた。
沖田「思ったよりか難航しそうですねィ」
土方「ったく、お前は楽しそうだな……」
そう言うと土方は、フゥ……と、ふかしていた煙草の煙と共に、大きめの溜め息を吐き出したのだった。