第2章 壱 かぶき町
夜のかぶき町のある路地裏。
一人の女と、数名の男が向き合っていた。
男「てめぇ……今なんつった?
女「桂小太郎を探している。」
男「桂ァ?……てめぇ、どこのもんだ」
女「そんなことはどうでもよい。桂小太郎はどこだと聞いている。」
男「てめぇ、知らねぇふりして本当は桂一派のモンじゃねぇか?」
女「……質問に答えろ。」
男「ヤれ」
その瞬間、後ろに従えていた男達が一斉に剣を抜いた。
それと同時に
男「ぐはッ……」
と、嘆く声が響く。
カチャリ、と女が静かに刀を鞘に納めた。
倒れた男達を一瞥した女は、男達を切ったものとは別の、もう一本の長剣をぎゅっと握りしめた。
女「……兄上ッ……。」