第1章 放課後/ブルーロック/糸師凛/幼馴染み/日常
潔が頭をかく。その仕草も年齢相応で好感触だ。
繭のよく知っているサッカー男子と言えば凛と冴くらいなもの。彼らの愛想のない機械のような雰囲気とは違い、潔は人間味がある、繭の自然と笑顔が深くなる。
「謙遜するんですね」
「いや、まあ、……凛よりは?」
「あはっ それは決定事項」
「クソ潔。消えろ」
これは凛が苛ついてる時の顔。それだけ“潔”に情緒を引っ張られていると言ってもいい。繭はわざと大きく瞬きをして、きょとんとした顔で言う。
「嫌なら凛が消えたら?」
「……黙れ」
(キレ顔の破壊力!!)
(イケメン情緒不安かよw)
(てか飛び入りメンズも結構かわいくね?)
こちらにまで感情を回すとは意外だった。潔の、凛の様子にも全くひるまない所を見るとやはり凛とは面識も多い選手なのだろう。
潔の方が繭を気遣い、怖ず怖ずとフォローを回してくれる。
「お前は……女子の前でもそんな感じなのかよ」
「関係ねえだろ」
「そんな感じなのに……ラブレターとかまで、もらうのかよ」
「ですよね。もっとこう女の子側の気持ちとかそういう」
「頼んでねえし興味ねぇんだよ」
食い気味に飲まれ次に睨まれるのは繭だ。繭はそれをふいとかわし、凛に人差し指を向けて潔に目を向ける。
「石投げつけられていつか死ぬと思いません?」
「そっすね。全力で同意っす」
今度は繭の方から潔に質問を投げてみる。
「凛はブルーロックでもこんな感じですか?」
「探り入れてんじゃねぇ」
「まあ、だいたいそのままっすね」
おそらく潔の答えには少しズレがある。
潔がこの場に現れたから凛は感情を滲ませているだけで、普段は良く言えばもう少し柔らかいし、悪く言えば回りに関心がない。先ほどから凛の苛々が沸点を超えそうだ。
ここらで手を引いた方が無難かと考えた時にガツンとテーブルの脚が揺れた。凛の仕業だ。しばしの静寂、そして回りの席の人達からの視線がやや痛くなる。潔の声にも呆れが混ざる。
「お前な……マナーとかねえの?」
「消えろ。それか死ね」
繭もやれやれの気分だ。潔は両者を交互に見てから言う。
「仲いいのな。」
「目付いてんのか」
「いや、良くはないですね」