第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
雑誌が発売されて数日。
その熱狂は冷めるどころか、街の至る所で「ショート」と「」の名前が囁かれていた。
ある日、轟は緑谷、飯田の二人と連れ立って定食屋にいた。
湯気を立てる料理を前に、真っ先に口を開いたのは緑谷だった。
「轟くん、あの雑誌……見たよ! 本当に凄かった。いつものヒーローとしてのカッコよさとはまた違う、なんていうか……物語の主人公みたいだった」
緑谷は興奮気味に、鞄から(既に保存用まで確保しているという)雑誌を取り出した。
横から覗き込んだ飯田も、眼鏡の奥の目を鋭く光らせて深く頷く。
「ああ、俺も拝見した! 君の凛とした佇まいはもちろん、隣にいたモデルの表現力も実に見事だった。二人の間には目には見えない『絆』のようなものが描写されていると感じたぞ!」
親友たちからのストレートな称賛に轟は箸を止め、わずかに視線を泳がせた。
「……そうか。二人とも、見てくれたのか。ありがとう」
「あんなに話題になってたら、見ないわけにいかないよ! 轟くん、撮影の時どうだった? やっぱり緊張した?」
緑谷の問いに、轟はあのスタジオの、強烈なフラッシュと独特の香水の香りを思い出した。
「ああ、最初はな。自分の居場所がないように感じたし、どう立っていればいいのかも分からなかった。だが……」
轟はそこで一度言葉を切り、手元のコップを見つめた。
「彼女…が凄かった。俺が固まっているのを一瞬で見抜いて、リードしてくれたんだ。ただポーズを決めるだけじゃない。彼女が触れたり、声をかけたりするだけで、スタジオの空気が一変する。あれがプロの『技術』なんだと、肌で感じたよ」
「へえ……。轟くんにそこまで言わせるなんて、やっぱりトップモデルは違うんだね」
感心したように呟く緑谷に、轟は真剣な眼差しを向けた。