第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
「……プロだな、君は。戦いの中ではないが、自分を律して現場に臨む姿勢は、ヒーローのそれと変わらない」
「ヒーローの方にそう言われると、なんだか背筋が伸びちゃう。でも、ショートさんも凄かったですよ。さっきのラストカット、本当に守られてる気分になっちゃった」
「……それは、君のリードがあったからだ」
轟は蕎麦のカップを置き、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「俺は、目の前の対象を『守る』ことには慣れている。だが、それをどう『見せる』かは知らなかった。君が隣にいてくれたから、俺は自分が何をすべきか理解できたんだ」
「……真面目すぎ。……でも、そういうところ、素敵だと思います」
は少しだけ頬を染め、誤魔化すようにミネラルウォーターを一口飲んだ。
お互いの瞳が合い、自然と笑みがこぼれる。
再開を告げるスタッフの声が聞こえる頃には、二人の距離は、撮影が始まった時よりもずっと、自然なものに変わっていた。
食事を終え、再びライトの下に立った轟の表情からは、先ほどまでの硬さが消えていた。
隣で微笑むへの信頼が、彼の立ち振る舞いにしなやかさを与えている。
「いいですね、ショートさん。今度はそのまま、さんの肩を抱き寄せるようにして、少し視線を落として」
カメラマンの指示に、轟は迷いなく応じた。
スーツ越しに伝わる彼女の体温を指先に感じながら、守るべき者を慈しむような、静かで熱い眼差しを向ける。
そのあまりの麗しさに、シャッターを切る音だけがスタジオに響き、スタッフたちは固唾を飲んでモニターを見つめた。
「完璧です……! まるで二人だけの世界ができあがっているみたいだ」
撮影は後半、驚くほどスムーズに進んだ。
がわずかに角度を変えれば、轟もそれに呼応するように重心を移す。
彼女がリードし、彼がそれを受け止める。
その呼吸は、初対面とは思えないほど深く、鮮やかに重なり合っていた。