第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
轟は手元に届いた雑誌の、例のインタビューページをじっと見つめていた。
「……変なことは言っていないはずだが」
スマホを開けば、元A組からの通知が止まらない。
『轟くん、ランキング1位おめでとう! 新人での首位獲得なんて、本当にホークス以来の快挙だよ!ただ、雑誌の方は……なんていうか、その。本屋さんで表紙を見た瞬間、あまりの色気に頭が真っ白になっちゃって。なんだか僕までドキドキして、ページを捲るのに凄く時間がかかったよ。でも、本当にかっこよかった!』
緑谷らしい、誠実さと困惑が入り混じったメッセージ。
文字面からも、彼が顔を赤くしてスマホを打っている様子が手に取るように分かった。
『おい轟! 出版社からうちにまでサンプルが届いてんだよ、目障りなんだわ! ヒーローが色気売ってんじゃねぇ! ……っつーか、モデルの女に完全に圧されてんじゃねぇか。男なら少しはリードしろボケが!』
爆豪からは相変わらずの罵詈雑言。
だが、わざわざ隅々までチェックしたことが透けて見える内容に、轟は「相変わらずだな」と小さく鼻を鳴らした。
『轟っ!! てめぇ、あのちゃんとあんな距離で、しかもほぼ裸で……!! 代われ! その場所を今すぐ俺と代われ!! 抱かれたい1位だと? 俺は今、お前を一番絞め殺したいよ!!』
峰田のもはや執念すら感じる慟哭のような叫び。
これに関しては、既読をつけるだけで十分だろうと判断し、轟はそっとスマホを閉じた。
女子たちからの「エロすぎて直視できない」「悲鳴を上げた」という直球な感想に、轟は耳の端を赤くした。
「……色気、か」
仲間たちの騒ぎは、それだけ今回の雑誌が「事件」だったことを物語っている。
その中には、あの日交換したばかりの、彼女からのメッセージも混ざっていた。
『ショートさん、雑誌読みました。インタビューの回答、すごく「あなたらしい」ですね 笑』
彼女がどんな表情でこれを打ったのか。
轟は、少しだけ熱を帯びた頬を手のひらで押さえ、返信の文面を考え始めた。
世間がどれほど自分に熱狂しようとも、彼が本当に「届いてほしい」と願う相手は、たった一人だけだった。