第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
雑誌の発売日、書店やコンビニの棚からその一冊が瞬く間に消えていった。
前回を遥かに凌ぐ爆発的な売れ行き。
表紙を飾る「ショート」のどこか憂いを帯びた、それでいて剥き出しの熱情を孕んだ視線が、日本中の女性たちの心を鷲掴みにした。
SNS上では、ハッシュタグ「#ショート」がトレンドの首位を独占し続けている。
『抱かれたいヒーロー1位なのは分かってたけど、この写真は反則。むしろ「抱きたい男1位」でしょ……』
『この初々しさは何? 筋肉バキバキなのに、目が迷子になってる感じがたまらない』
『芸術的なエロス。エロいっていうか、もう尊い』
阿鼻叫喚に近い絶賛の嵐。
特に、薄暗い照明の中でと肌を寄せ合い、理性の限界を彷彿とさせる彼の表情は、読者たちに強烈な「物語」を想起させた。
写真の衝撃もさることながら、読者の心をさらにかき乱したのは、巻末に掲載されたロングインタビューと質疑応答だった。
「オフの日の過ごし方は?」という問いに対し、『……蕎麦の旨い店を探して、歩き回っていることが多い。最近はトッピングの揚げ玉の奥深さに気づいた』
と、至極真面目に回答。
「好きな女性のタイプは?」という直球の質問には、『自分にはないものを持っていて、導いてくれるような人……撮影中も、学ぶことが多かった』
と、特定の誰かを連想させるような、真っ直ぐな言葉を残している。
クールで近寄りがたい「氷炎の貴公子」としてのパブリックイメージ。
それを見事に裏切る、天然で、少しだけ世間ズレした素朴な素顔。
『顔面国宝なのに中身が天然記念物とか、好きになるしかない』
『質問の答えがピュアすぎて、写真とのギャップで風邪引きそう』
誌面で見せた、経験のなさを物語る「初々しい色気」
そしてテキストで見せた、飾り気のない「誠実な人柄」
その二重の罠に、世の女性たちは抗う術もなく虜になっていった。