第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
「……ショートさん」
カメラには写らない角度で、彼女が小さく囁いた。
「私を見て。……レンズでも、他の誰でもない、私だけを」
彼女のリードに弾かれたように、轟の瞳に野生的な光が宿る。
「……ああ」
轟が意を決して腰を引き寄せた瞬間、密着した腹部にひときわ硬く、熱い熱が押し当てられた。
(あら……)
は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに内心で小さく笑った。
若きヒーローの、隠しきれない身体的な反応。
あまりにも直球で、不器用なほどに正直なその熱を、彼女は可愛いとさえ思った。
彼女は何食わぬ顔で、その熱を受け流すようにさらに深く身を預ける。
撮影はさらに過激なフェーズへと移っていった。
鼻先が触れ合う距離で、互いの呼気を感じながら唇を重ねる寸前で止める、擬似的なキスのショット。
そして、真っ白なシーツが敷かれたベッドの上で、互いの四肢や手を絡め合うような構図。
轟にとっては、すべてが未知の領域だった。
柔らかいシーツに沈み込む感覚と、その上に横たわる彼女の、あまりにも無防備で暴力的なまでの美しさ。
ドギマギと視線を泳がせ、触れる指先さえ震わせる轟を、は慈しむような眼差しで包み込み、流れるように次のポーズへと誘っていく。
「……ショートさん、そのまま。私の肩に顔を埋めて」
彼女の囁きに弾かれたように、轟は指示に従う。首筋に鼻を寄せれば、彼女の甘い体温がダイレクトに脳を揺さぶった。
カメラマンは、当初の予定を密かに変更していた。
当初は「抱かれたい男」としての、完成された大人の色気を求めていた。
しかし、ファインダー越しに見える轟の表情は、それとは正反対のものだった。
「……いい。むしろ、こっちの方が自然でいいな」
カメラマンは確信を込めてシャッターを切る。
戸惑い、高揚し、必死に理性を保とうと葛藤する、若々しい熱情。
それは10代という限られた時間にしか存在しない、剥き出しの「初々しさ」だった。
完成された色気よりも、今まさに目覚めようとしている衝動。
その危ういバランスが、の圧倒的な余裕と重なり合うことで、唯一無二の芸術的なエロスを醸し出していた。