第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
スタジオの楽屋、鏡の前。
はメイクアップアーティストの繊細な筆先を顔に受けながら、静かに目を閉じていた。
「、前回のショートとの特集、すごいことになってるわよ」
背後でスケジュールを確認していたマネージャーが、興奮を抑えきれない様子で声をかけてきた。
「重版に次ぐ重版で、社内でも伝説的な売り上げだって。異例のスピードで増刷が決まったわ」
「そう……良かった」
は短く答えたが、胸の奥には安堵以上の熱い何かが込み上げていた。
あの撮影現場で感じた、轟焦凍という青年のひたむきな眼差し。
不器用ながらも、彼女のリードに応えようと必死に自分をさらけ出してくれた彼の姿が、鮮明に蘇る。
「編集部にもファンから『また二人の姿が見たい』って要望が殺到してるみたい。実は、もう次のコラボ企画の打診も来てるのよ」
「……次も、彼と?」
「ええ。近いうちに正式なオファーになると思うわ。今度はもっと大きなプロジェクトになるかもしれないわね」
メイクが終わり、はゆっくりと目を開けた。
鏡に映る自分は、プロの顔をしている。
けれど、マネージャーの言葉を聞いた瞬間に跳ねた心臓の鼓動までは、隠しきれていなかった。
(また、会えるんだ)
撮影の別れ際、連絡先を交換することも忘れるほど、あの時間に没頭していた。
次に会えた時は、仕事の話だけでなく、もっと彼の内側に触れてみたい。
「楽しみね。……彼と作る、新しい世界」
独りごちるように呟いたの唇が、自然と柔らかな弧を描いた。