異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第5章 悪役令嬢上等!後編
扉が開き、長身の男性が入ってくる。
銀糸のような髪に鋭い眼差し。威厳を纏うその姿。
ヴァレンシュタイン公爵――エミリアの父だ。
その後ろには、優雅なドレスを纏った気品ある女性。
母だろう。
「エミリア」
低く、しかし抑えた声。
「気分はどうだ」
私は一瞬固まる。
え、どうする?どう答える?
ゲーム知識によれば、エミリアは感情をあまり表に出さない。
冷静で完璧な公爵令嬢。
下手に挙動不審になったら怪しまれる。
私はゆっくり背筋を伸ばした。
「……少し、目眩がいたしますわ。ですが問題ございません」
声、出た!
しかもめちゃくちゃ上品!
内心パニックだが、外面はクール。
公爵はじっと私を観察する。
「階段から落ちたと聞いた」
――は?