異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第4章 悪役令嬢上等!前編
「あだっ!」
それは決して上品とは言えない悲鳴だった。
気づいたら私はベットから落ちていた。
「お嬢様!大丈夫でございますか!?」
「だれか!お嬢様をベットにお戻しして!」
誰かの聞きなれない数人の声がして、私は抱き抱えられて、ベットに横にそっとおかれた。
はっきりしない意識の中で、なにか違和感を感じた。
冷たい床は固く、自室のフローリングの木材とは違う石のようなかんじ。
なにより、毛足の長いふかふかの手触りのいいカーペットが敷かれていた。
うちにこんなの敷いてないぞ?
と思いながら、痛む節々をストレッチして解すように私は寝ながら大きく伸びをして目を覚ました。
目に飛び込んできたのは天蓋付きの天井。
……天蓋……天蓋ねー。
なんてぼんやりと考えていると急に意識がハッとする。
ウチのベットは天蓋付きじゃないぞ!ここどこだ!?
私はガバッと勢いよく起き上がる。
私のベットの周りを取り囲んでいた数名の男女が、飛び退き、尻もちをつく。
「誰か旦那様を!お嬢様が目を覚まされたぞ!」
そんな言葉を耳にのこし、私は状況を把握しようと部屋中を見渡した。
今座っている天蓋付きのベット。
重厚な彫刻が施された柱。
壁には豪奢なタペストリー。
メイド服らしき服装の女性たちと、黒いスーツ姿の男性。
そして――ベットと並行して置かれたドレッサーの鏡。
そこに映る自分を見て、私は息を呑む。
月光のような見事なプラチナブロンドの長い髪。
氷のように澄んだ青い目。
それは見たことある姿だった。
これ、今プレイ中の乙女ゲーム『聖女の祈り』の悪役令嬢、エミリア・ヴァレンシュタインじゃない!?
私が頬に手をやると、鏡の中のエミリアも困ったように眉を寄せ、同じように頬に触れる。
え!?なにこれ?ファンタジーってやつ!?
いわゆる異世界転生ってこと?
昨日のことを必死に思い出す。
会社から帰ってきて。
お風呂入って。
スキンケアして。
夕飯代わりにポテチ食べながら『聖女の祈り』プレイして……。
……そっから記憶がない。
――最悪だ。
だってエミリアって、ゲーム本編だと最終的に断罪されて国外追放エンドか、処刑エンドなんですけど!?
コンコン、と重々しいノック音が響く。
部屋の空気が一変した。
扉が開き、長身の男性が入ってくる。