異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第2章 始まりは悪女から中編
私は彼女を観察していた。
彼女は決して、私と二人きりのときには怯えない。
むしろ、真っ直ぐに私を見返してくる。
その瞳は、今のように濡れてはいない。
私は理解する。
彼女は私を恐れていない。彼女は、私を“利用している”。
――では、私はどうする?
感情で否定すれば、冷酷。
声を荒げれば、横暴。
沈黙すれば、肯定。
ならば、選ぶべきは一つ。
私は視線をアルベルト様に向ける。
「失望、ですか」
静かな声。
「私は彼女に触れておりません。言葉も交わしていません。ですが、もし“視線”が罪であるなら……私は有罪なのでしょう」
ざわめきが止まる。
私は続ける。
「けれど、恐怖という感情は主観です。証明はできません」