• テキストサイズ

異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった

第11章 令嬢は冷静です。さぁどうする? 後編


「エミリア様……」

 
その声は震えている。だが周囲に視線を配る余裕はある。

観客確認よーし!

私は立ち上がり、距離を保ったまま応じる。

 
「お怪我の具合はいかが?」
 

「はい……もう大丈夫です」

 
細い指が胸元を握る。完璧な構図だ。
 だが、私はそれに寄り添う。

 
「それは何より。無理はなさらないで」

 
攻撃しない。否定しない。ただ、理性的に気遣う。
彼女の瞳が、ほんのわずかに迷う。予想外なのだろう。
悪役は、もっと冷たいはず。もっと刺すはず。
 しかし、それはあくまでも過程だ。
 そうやすやす引っかかってたまるか!性悪ヒロイン!
だから、私は刺さない。舞台を成立させない。
――そのとき。

 
「……リリアーナ」

 
アルベルトが歩み寄る。彼は一瞬、私と彼女を見比べた。
涙を浮かべる少女。穏やかに立つ公爵令嬢。
構図が、以前ほど鮮明ではない。
彼の中で、まだ答えは出ていない。
だが、疑問は消えていない。
/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp