• テキストサイズ

異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった

第9章 令嬢は冷静です。さぁどうする?


「ええ。階段の構造に問題があるなら、他の生徒も危険でしょう?」
 

それは誰も否定できない理屈。
私はリリアーナを責めていない。事故を疑ってもいない。
ただ、“安全”を求めているだけ。
合理、攻撃ではない。
けれど確実に、舞台装置へ光を当てる。教室のあちこちで視線が交差する。
階段、構造、事故。
言葉が、静かに広がっていく。
リリアーナの指先が、スカートの布をわずかに握り締めた。
私はさらに一歩、踏み込む。

 
「もし私の視線が恐怖を与えたのなら、改めます」

 
ざわめき。

 
「ですが、誤解は解きたいのです」

 
ここで大事なのは責めない、否定しない、感情を荒げない。ただ、事実と姿勢を提示する。
アルベルトの視線が私に向けられる。その瞳に浮かぶのは、怒りではない。

――困惑。

なぜ彼女は、こんなに冷静なのだ?

その疑問が、確かに芽吹く。私は知っている。
彼は正義感が強く弱者を守りたいと思う人だ。
だからこそ、“悪意ある加害者”という物語が必要だった。
だが私は、その役を演じない。
冷たい令嬢は、理性的に謝罪し、安全を案じ、誤解を解こうとしている。
構図が、わずかに歪む。リリアーナが小さく俯いた。

 
「……私、そんなつもりは……」
/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp