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後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!

第13章 事件発生! 後編


「琳」

 

 低い声が洗濯場に響く。
洗濯女たちが一斉に手を止めた。
振り向くと、そこには——洗濯下女長が立っていた。
年は四十過ぎ。厳しい顔つきで、後宮でも名の通った女だ。

 
「……来い」

 
短い一言。洗濯場がざわめく。桃児が小声で言った。

 
「琳、怒られた?」

 
「……さあ」

 
私は手を拭き、立ち上がった。下女長の後ろを歩く。
奥の小部屋。普段は帳簿をつける場所だ。
扉が閉まる。しばらく沈黙の後、下女長は棚から巻物を取り出した。それを机に置く。

 
「琳」

 
「はい」

 
「お前、最近よく呼ばれているな」

 
私は表情を変えない。

 
「雑用です」

 
下女長は鼻で笑った。

 
「雑用で、宦官長の付き人に呼ばれる下女がいるか」

 
——黎明のことか。

やっぱり見られていたらしい。
私は黙る。
下女長はしばらく私を見ていた。やがてため息をつく。

 
「……上から命令が来た」

 
「命令?」

 
巻物を私の前に滑らせる。

 
「琳。お前は今日付けで洗濯場を離れる」

 
桃児の顔が一瞬浮かんだ。私は静かに聞いた。

 
「理由を伺っても?」

 
下女長は肩をすくめた。

 
「理由?」

 
何が動いている。それを察した笑いを浮かべる。
 

「“働きが良いから”だそうだ」

 
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