後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第8章 蒼煌帝国 後編
「阿琳、難しい顔してどうしたの?」
桃児がのぞき込む。
「考えてた」
「何を?」
「この国、よくできてるなって」
神話で正統性を固め、皇后で後宮を統べる。
四妃で有力家を繋ぎ止め、部署で秩序を保つ。
完璧に見える。
でも。
完璧な仕組みほど、小さな歪みが大きく響く。
桶のささくれみたいに。
「ねえ桃児」
「ん?」
「この国、ずっとこのままだと思う?」
桃児は首をかしげる。
「麒麟の血は続くでしょ?」
私は小さく笑う。
血は続いても、仕組みは変わる。
変えられる。
洗濯場の湯気の向こうに、青い空が見える。
――蒼煌帝国。
強くて、重くて、完成された国。
でも私は、もう知ってしまった。
完成された構造も――
中から見れば、ちゃんと“継ぎ目”があるってことを。