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後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!

第6章 蒼煌帝国 前編


この世界の事はぼんやり"琳"の記憶があるが、何となくなので、『聞くは一瞬の恥聞かぬは一生の恥』として、桃児や監督女官から聞くことにした。
どうやら、この世界は私が思っていたより、ずっと“できあがってる”らしい。
転生して右も左も分からなかった頃、私は洗濯場の隅で、桃児にひそひそと聞いた。

 
「ねえ、この国ってさ、どんな国なの?」

 
桃児は驚いた顔をして、

 
「阿琳、そんなのも転んでそんな事も忘れちゃったの?薬房に行った方がいいんじゃない? 蒼煌帝国だよ?」

 
と、訝しげに私を見ながら当たり前みたいに言った。

蒼煌帝国。
蒼い麒麟の血を引く皇帝が代々治める国。
“蒼麟帝”と呼ばれる皇帝は絶対の存在で、今は十二代目らしい。
 

「蒼い麒麟が初代皇帝を選んだんだって」

 
桃児は目をきらきらさせて言った。
建国神話みたいな話だ。でも監督女官は違う言い方をした。
「麒麟の血筋ってのはね、“正統性”の象徴さ。あれがあるから外廷の官僚も黙るんだよ」

……なるほど。

神話は権力の土台、ってわけか。

後宮もまた、ちゃんとした“構造物”だ。
一番上は皇后様。
後宮の頂点で、儀式も采配も取り仕切る存在。

 
「皇后様の言葉は、後宮では帝の次だよ」

 
監督女官はそう言った。
皇后の下にいるのが“四妃”。
青龍妃様。
朱雀妃様。
玄武妃様。
白虎妃様。
四神になぞらえた最高位の妃。
桃児によれば、それぞれ実家がすごいらしい。
青龍妃は武門の名家。
朱雀妃は文官の重鎮の娘。
玄武妃は財を握る一族。
白虎妃は地方豪族の出。

 
「だからね、妃様同士が争うと、家と家の争いになるの」

 
桃児は声を潜めた。
妃って、ただの愛人じゃない。
家の威信と、政治的影響力を背負ってる。
四妃の下には上級妃、中級妃、下級妃。
上級妃は高官や有力者の娘。
中級妃は功績や推薦。
下級妃は地方から選ばれたり、献上されたり。
妃だけでも相当な人数。
そこに仕える女官や下女を入れたら、後宮だけで千人規模になる。
そして私たちの世界――部署。

「あんたはよく分かって内容だけど……」


 監督女官は声を潜めて教えてくれた。
 おばさん…話好きだな…
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