緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第4章 不実な夜に、君の名を
次に上陸した島の港町は、潮の香りと安酒の匂いが混じり合う、活気にあふれた場所だった。
赤髪海賊団の一行は、シャンクスの完全復活と禁酒解禁を祝うべく、町で一番大きな酒場へと繰り出した。
そこは色とりどりのドレスを纏った女たちが男たちの膝に乗り、甘い声を上げるような店だった。
「お頭、今日はトコトン飲み明かそうぜ!」
「おう、今日は誰にも止めさせねェぞ!」
シャンクスは満面の笑みでジョッキを掲げ、群がってくる女たちをあしらうこともなく、賑やかに笑い転げている。
その中心にいる彼はあまりにも眩しく、そして遠かった。
は入り口近くの隅の席で、ちびちびと果実酒を口に運んでいた。
彼のために尽くしたあの密室の時間は、やはり夢だったのだろうか。
自分があれほど懸命に奉仕し、彼もまた翻弄されていたはずなのに、今の彼は他の女たちの香りに包まれて楽しげにしている。
「面白くねェって、顔してんな」
不意に隣に腰を下ろしたのは、ベックマンだった。
彼は喧騒に加わることもなく、静かにウィスキーを傾けている。
「……別に。シャンクスさんが楽しそうなら、それでいいんです」
「嘘が下手だな」
ベックマンは短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
二人の間でとりとめもない会話が続いていたが、ふと、酒場の中央が妙に静かになっていることに気づいた。
「……あれ?」
さっきまで大騒ぎしていたシャンクスの姿が、どこにもない。
それどころか、数人の幹部たちの姿も消えていた。
「シャンクスさんは……?」
が不安げに周囲を見渡すと、残っていたクルーの一人が、赤ら顔でニヤニヤしながら口を開いた。
「あぁ、お頭ならさっき、店の姉ちゃんたち連れて奥へ行ったぜ。船じゃずっと禁欲生活だったからなぁ。溜まりに溜まったもんを吐き出しに行ったんだろ」
心臓が、氷水を浴びせられたように冷たくなった。
「……女の人と、奥へ?」
「海賊なんてそんなもんだ。命がけの航海の後は、酒と女で精をつけるのが流儀なんだよ」
男たちの下卑た笑い声が、遠くで鳴り響く。
あんなに、私があんなに尽くしたのに。
私の口の中で、何度も熱く脈打っていたあの人は今、名前も知らない女を抱いている。