緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第3章 欠けた左腕と、蜜の体温
「……やりすぎだろ、お前……っ」
シャンクスは残された右手で、ただその頬を優しく撫でた。
腕を一本失った代わりに、自分はこれほどまでに深く、重い愛を抱えた女を手に入れてしまったのだった。
「シャンクスさん、私……あなたの為なら、何だって捧げるつもりです。身体も、心も、全部……」
は、熱を帯びた瞳で彼を仰ぎ見た。
その言葉には、恩義を越えた、一種の狂気にも似た献身が宿っている。
だが、シャンクスは残された右手で彼女の頭を乱暴に、けれど慈しむように撫で低く笑った。
「よせ。お前は俺のクルーだ。そんな風に全部を投げ出すような真似、しなくていい。……お前は自由でいろ。それが俺の願いだ」
「……っ。でも……」
少しだけ、拒絶されたような寂しさが彼女の胸を掠める。
けれど、彼女はすぐに気を取り直したように、いたずらっぽく微笑んで彼の楔に指先を這わせた。
「わかりました。でも……もしまた溜まってしまったら、いつでも言ってください。私が、こうして……全部、綺麗にしてあげますから」
そう言い残すと、彼女は手際よくシャンクスの身体を湿ったタオルで清め、自身の肌に飛び散った精液も軽く拭い去った。
乱れた髪を指で梳き、何食わぬ顔で身なりを整える。
「……じゃあ、私、自分の部屋でシャワーを浴びてきますね」
軽やかな足取りで彼女が部屋を出ていく。バニラの残り香が、扉の閉まる音と共にふわりと揺れた。
「…………っ、はぁぁ…………ッ!!」
一人残されたシャンクスは、肺にある空気をすべて吐き出すように深く、長く息をついた。
正直、限界だった。
献身的な彼女の言葉、自分を求める潤んだ瞳、そして何よりあの暴力的なまでに甘い「蜜」の香り。
もしあと一歩でも彼女が踏み込んできていたら。
もし彼女が「抱いて」と縋り付いてきたら。
自分は腕を失った時の痛みなど忘れて、彼女をこのベッドに組み伏せ、めちゃくちゃに貪り尽くしていただろう。
「……あいつ、わかってねェな。自分がどれだけ危ねェ顔してたか……」
右手で顔を覆い、シャンクスは苦笑した。
禁酒のストレスどころではない。
一度その「甘露」を知ってしまった男が、いつまで理性の鎖で自分を繋ぎ止めていられるか。