緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第7章 毒と蜜の独白
「……あ、あぁ……か。……悪い、昨夜は……飲みすぎたようだ……」
「え……?」
「……あー、クソっ。……店で酒を飲んで、お前と部屋に来たところまでは……覚えてるんだが。その後の記憶が、さっぱりだ。……俺、何か変なことしなかったか?」
混乱と痛みに顔を歪める彼を見て、は呆然とした。
あんなに熱く、激しく、魂を削り合うような言葉をぶつけ合っておきながら。
あれだけの狂おしい情愛を注いでおきながら。
アルコールの過剰摂取と、薬の副作用か、どうやらシャンクスの脳からは、昨夜の記憶が、残酷なまでに抜け落ちてしまっているようだった。
「……あ、……ううん。……何も、変なことなんて、なかったですよ」
昨夜の彼の告白を思い出し、は微かに唇を噛んだ。
彼が覚えていないのなら、自分だけの秘密にしておけばいい。
けれど、あの時の彼の熱い瞳と、心からの叫びが嘘だとは、どうしても思えなかった。
二日酔いで足取りの覚束ないシャンクスに、何度も水を飲ませ、手持ちの薬を服用させた。
一時間ほど休ませると、ようやく顔色の戻った彼を支えるようにして、は宿を後にした。
港までの道中、シャンクスは時折こめかみを押さえ、重そうに頭を振っていた。
昨夜の猛獣のような面影はなく、今はただ、飲みすぎた翌日の情けない男の背中だ。
「……悪いな、。情けねェところ見せちまった」
「いいですよ、別に。……本当に、覚えてないんですね」
「あぁ。……妙に体が熱かった気もするんだが。酒のせいだろうな」
そう言って笑う彼に、は小さく溜息をついた。
あれだけの情念をぶつけられておきながら、自分一人がその重みを受け止めている現状が、どこか現実味を欠いて感じられる。
船のタラップを上がれば、案の定、待ち構えていた野郎どもの野次が飛んできた。
「おーおー、お熱いこって! 朝帰りかよお頭ァ!」
「、腰は大丈夫か? 昨夜の宴は一階まで声が響いてたぜ!」
「……うるせェ。大声出すな、頭に響く」
シャンクスはいつものように言い返す元気もなく、片手をひらひらと振ると、ふらつく足取りで自室へと消えていった。