夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第16章 束の間 奏でるクリシェ【仇名/直接会談】
「【死滅回游】の泳者に武装した非術師――軍人を当てることで結界の呪力を活性化させ、天元との同化前の慣らしを終える。ザッとそんなところだろう。貴様の目論見は」
裏梅の推察に、羂索は小さく笑った。
「それだけだと六十点かな」
東京と仙台を除けば、確かに各結界の呪力は充分ではない。その保険として各国の軍隊を各結界に差し向けたわけだが……。
「言うほど盛り上がらないと思うんだけよね。軍VS術師は」
受肉タイプの泳者は別として、覚醒タイプの泳者は苦戦する者も多い。そもそも、覚醒タイプは、強くても殺人に抵抗がある者がほとんどだろう。
目の前に転がる男の死体を見つけ、羂索はずんぐりとした呪霊を呼び出す。「掃除して」と命じれば、呪霊は美味しそうに死体を食べ始めた。
「ある程度の被害を受けたら軍も引く。それに、非術師は点も低いから、泳者も理由なく深追いしないよ」
「……そうか」
羂索の話に裏梅が合点がいったように頷く。
「気づいた?」
なぜ軍を夜に行動させたのか。軍人にアドバンテージを与えていると思っていたのだろう。
「非術師でも、息絶える瞬間には大きく呪力を放出するものだ。海外の人間も例外ではないのか?」
「あぁ。呪力と縁のない外国人も死に際は別だ。わずかだが、脳が変質するほどの負荷が“死”にはある」
始めから術師と軍を当てるつもりはなかった。
そんな力比べをしなくても、非術師がどう足掻いても勝てない“理”がある。
「全ての結界に数多の呪霊を解き放っている」
――夜は彼らのホームグラウンドだ。