第2章 ぎこちなく響くアン・フェール【禪院家/狩人】
「あれが虎杖くんか……さすが、星也さんの占いは外れませんね。でも、一人じゃないみたいだ」
乙骨は星也と近くのビルの屋上に立ち、高架下で戦っている三人の人影を見た。
「恵から話は聞いている。兄を名乗る何者かが悠仁を連れて行ったらしい。話によれば、【赤血操術】を使っていたとか」
「加茂家相伝の?」
コクリと頷く星也に乙骨は首を傾げる。
「なんだろ……? 今 渋谷にいる【赤血操術】の使い手って、京都校の加茂さんだけのはずだけど……」
「おそらく、加茂 憲倫の陣営だろう。そう考えると、可能性が一つある」
【呪胎九相図】――この呪物の誕生には加茂 憲倫が関わっている。
「なら、悠仁と一緒にいるのは……」
「受肉体、ですか……」
なぜ 兄を名乗っているのかは分からないが……星也の言う通り、その可能性は充分にある。
「星也さん、大丈夫ですか? 津美紀さんのこと……」
先ほど、伏黒から【死滅回游】の話と、妹のように可愛がっていた伏黒の姉がそれに巻き込まれていると話を受けていた。すぐにでも行動を起こしたいはずだ。
「いい。僕一人で足掻いてもどうにもならない。今は目の前のことを一つずつ片づけていこう。まずは悠仁の処刑からだ。任せたよ、憂太」
「はい、星也さん」
ケースから刀を取り出し、乙骨は地面を強く蹴り、虎杖たちがいる高架下へと降りた。