夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第11章 アディラートに奮い立つ【東京第1結界】
「君の性格的に無駄だと思うけど、一応 聞くね。持ち点くれたら楽に殺してあげるけど?」
「詞織が戦ってんのに……俺がここで斃れるわけねぇだろ。死ぬときは一緒だって約束してんだ」
そう答えると、レジィが肩を竦めて「はぁ?」と呆れたようにため息を吐く。
「なになに、甘酸っぱい青春 過ごしてるねぇ。別にいいんじゃない? どうせ かや子にゃ勝てないよ。あの子は“恐怖を再現”できる。今頃 殺されてるだろうし、君がここで死ねば あの世で会えるさ」
「アイツは、詩音がいなくても充分 強い。殺されてんのは逆に、テメェんとこの女かもな」
伏黒は静かに呪力を練った。
結界術は難しい。いつまでたっても、現実空間にスケールの異なる擬似空間を重ねる感覚が掴めない。
詞織は伏黒より早い段階で、詩音とは違う切り札とするべく、星也から【領域展開】の訓練を受けていた。その分、詞織の【領域】は伏黒より完成度が高く、ある程度 対象を閉じ込めることもできる。
だから 伏黒は、この体育館の空間をそのまま自分の【領域】として転用することにした。
伏黒の纏う気配が変わったことに気づいたのか、レジィの表情がわずかに引きつる、
――【領域展開 嵌合暗翳庭】
伏黒の影が体育館を埋め尽くし、暗い闇が呑み込んだ。