夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「だいたい、詞織が宿儺に巻き込まれてんのはオマエが原因だろ。宿儺と何を話したんだ?」
接触があったのは少年院での一件のはず。そこ以外には考えられない。
伏黒の問いに、詩音は不愉快そうに眉を寄せ、目を鋭く吊り上げて睨みつけてきた。
『口外することは止められていない。でも、それをするほど あたしは恩知らずではないわ』
興味を失ったのか、それとも気分を害したのか。瞼を閉じた詩音の身体が傾ぎ、伏黒は慌てて抱き止めた。
「詞織?」
「ん……ごめん、何の話だった? 急に詩音が……」
詩音は基本、自分が表に出ている間のことを共有しない。もちろん できるようではあるが、なぜか頑なにしようとはしなかった。
「大したことじゃない。気にするな」
あの口ぶり……やはり、宿儺と何か話している。それも、ただ話しただけではない。
伏黒は宿儺と少年院で会ったきりだが、彼は己の利益にならないことはしないタイプだ。それが、なぜか詞織を助けて出てきた。
詩音が宿儺の興味を引いただけなら まだいい。けれど、宿儺にとって何か利になるものを差し出したとしたら……。
――「宿儺が、伏黒と星也さんと詩音……三人のことを使って、何か企んでる」
くそっ。宿儺のヤツ、いったい何を企んでんだ?
自分が巻き込まれるのは構わないが、詞織だけは……。
「伏黒?」
「メグ、どうしたの? 難しい顔してる」
無意識に寄せていた眉間に触れる詞織に、伏黒は「大丈夫だ」と返す。
「おーい、話し合いは終わったか?」
パンダの呼びかけに、伏黒たちは互いに顔を見合わせ、それぞれ思うところはあるものの、一つ頷いた。