夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第7章 彼が求めるフリオーソ【潜入/熱/きらきら星/部品】
――『ねぇ、詞織。あなたはどうして伏黒 津美紀を助けたいの? 血の繋がりがあるわけでもない。ただ一緒に住んでただけの女なのに』
心の中で語りかけてくる詩音に、詞織は小さな声で歌を繰り返しながら、膝を抱えて自分を抱きしめた。
――「血の繋がりだけが、家族なわけじゃない。津美紀はわたしのお姉ちゃんだから」
一緒に過ごした時間が、自分たちを家族にしてくれた。詞織にとって津美紀は、すでに三人目の姉だ。
詩音が深い愛情で全てを肯定してくれるのに対し、星良は行き先を明るく照らして導いてくれ、津美紀は穏やかな温もりで優しく寄り添ってくれる。
――『あなたの姉は、あたし一人で充分でしょ』
いじけるように詩音がそっぽを向くのを感じた。怒らせてしまったようだ。いや、怒らせたというよりは、いじけてしまったという方が正しいか。
不意に歓声が沸き、虎杖が会場に入ってきて、詞織は驚きのあまり歌が止まりそうになった。
――デンジャラス火の玉ボーイ! ユゥウウジィ イタドリィィイ‼︎
――立てばパンダ、座ればパンダ、歩く姿はマジ パンダ! パ! ン! ダ! だァアアア‼︎
実況の言葉通り、見たままが全て。存在自体がパンダ以外のなにものでもない。ここに来ていたのか。
真希は秤のことを知っていたし、当然 同級生であるパンダも彼のことを知っているだろう。
賭け試合の選手ならば、もしかしたらすでに秤と接触しているかもしれない。どちらにしても、どうにか合流して話を聞けないものか。
そう考えていると、試合は虎杖の勝利で幕を閉じた。明らかにパンダがわざと虎杖の攻撃を受けて吹き飛び、わざとらしく呻いて見せる。こちらの思惑も察してくれたらしい。