夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第7章 彼が求めるフリオーソ【潜入/熱/きらきら星/部品】
――「詞織、大丈夫。怖くないよ。詞織が安心できるまで、私が隣にいるから」
幼い頃、詩音が死んでしまった日のことを思い出して、眠れないときがあった。
紅く濁っていく詩音の瞳、耳を貫く憎悪の悲鳴、弾ける鮮血、地面で冷たく脈打つ小さな心臓の生々しさ――……今でも鮮明に脳裏に焼きついて離れない、詞織の原風景。
そんなときに寄り添ってくれたのが津美紀だった。
――「眠れないの? だったら 一緒に寝よう? 怖いことは半分こ。くっついてたら、悪い夢だって半分にできるよ」
津美紀。
津美紀。
津美紀。
一緒にたくさん笑った。
怪我をして何度も心配をかけた。
伏黒と無茶をして怒られたこともある。
辛くて悲しいときに抱きしめてくれた温もりが、今も忘れられない。
もう一度、あの優しい声で名前を呼んでほしい。
ううん。もう一度じゃ足りない。
もっと 何度でも呼んで、笑ったり、泣いたり……時には怒られたり……楽しいことだって、これからも一緒に経験したい。
だから――……。
* * *