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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第3章 未完の初恋、ログイン不可の心


雲ひとつない晴れた日。
海が見える公園は、潮風が穏やかに吹き抜ける絶好のデート日和だった。



「……ッ、落ち着けっつってんだろ」



待ち合わせの1時間前。
時計塔の真下のベンチに爆豪は腰を下ろし、心臓の音で鼓動が早まるのを必死に抑えていた。



(データの海じゃねぇ。作りもんの風じゃねぇ……。あと一時間もしねぇうちに、あいつがここに現れる)


掌に薄く汗が滲む。
あの日、システム越しに重ねた唇の熱を思い出し、爆豪は小さく毒づいて顔を背けた。








一方、公園の入り口では、白いワンピースに身を包んだが、今にも逃げ出したいほどの緊張に立ち尽くしていた。



「……はぁ、……落ち着かなきゃ。大丈夫、大丈夫だから」



青いリボンのついた帽子を深く被り、震える手でバッグの持ち手を握りしめる。
数年ぶりのたった一人での現実での外出。
ただの「自分」として歩く世界は、驚くほど眩しくて、恐ろしいほどに広かった。

けれど、それ以上に「BLAST」に会いたいという想いが彼女の足を一歩ずつ前へと進ませる。





時計塔が見えてきた。
その真下に、約束通り全身を黒でまとめた、背の高い男のシルエットを見つける。



(――いた。あの人が、BLAST……!)



心臓が跳ねた。
どう声をかけようか。
驚かせようか、それとも控えめに会釈しようか。
幸せな想像が膨らみ彼女の頬が自然と緩んだ、その時だった。



「ねぇ、あれ……もしかしてダイナマイトじゃない!?」


「えっ、ウソ!? マジだ! 本物のプロヒじゃん!」



ベンチに座る爆豪に、偶然居合わせた女性二人組が黄色い声を上げて駆け寄った。



「あの! サインもらえますか!? 大ファンなんです!」


「今日はお休みなんですか? 握手してください!」



本来なら、そこまでファンを邪険にするような真似はしない。
だが今の爆豪は、極限の緊張状態にある。



「あァ!? 今、人待ちなんだよ。どっか行け……っ」



苛立ちを隠せない低い声と鋭い三白眼がファンを射抜く。
その威圧感は、まさにテレビで見る「最強のヒーロー」そのものだった。



その光景を数メートル先で見ていたは、石のように固まった。




(ダイナマイト……? ……爆豪、勝己……?)





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