第1章 シンデレラ ―The Real Story―
そこに、大きな音でラッパが鳴り響きました
ラッパは新たに身分の高い客が到着した、という合図でした
皆、どこの国の王女だろうと、扉を見ておりました
そして、入ってきた娘に皆、息を呑みました
とても美しい娘でした
髪を美しくまとめ上げ、質素ながら上等のドレスを着ておりました
何よりも、輝くような笑顔を見せておりました
「どこの国の王女だろう」
「遠い山の向こうの国だろうか」
口々に人は言い合いました
王子はその娘を見て
なんと美しい笑顔だろうと思いました
「お名前と、いらした国をお教えください」
娘は受付係の兵に名を尋ねられ困っておりました
本当の名を名乗れば
母君に自分がいいつけを守らなかったことが
わかってしまうかもしれません
「えと・・・西の湖の国から参りました。 cendre と申します」
咄嗟に嘘をついておりました
王子は娘に駆け寄り、ひざまずいて言いました
「私と踊っていただけますか」
それを見た周囲の人はざわめきました
王子が自分から声をかけたのは初めてだからです
「あの方はどこの国の王女だ?」
皆、受付兵のところに参りました
一番最後に書いてある名前ー cendre ーを見て
「おお、シンデレラという名であるのか」
と口々に申しました
王子は娘の手を取り踊りました
娘はおぼつかない足取りでしたが、
王子が上手にステップを誘ってくれたので
素敵に踊ることができました
「まるで夢のようですわ・・・」
娘は踊りながら、はと気が付きました
かつて、湖のほとりで見つけた若者こそ、王子だったのです
「王子様は狩りがとてもお好きなのですね
自然がお好き、私もですわ」
王子はなぜこの王女殿は自分が狩りが好きだと知っているのだろうと訝しみました
「王女様、お尋ねしてよろしいでしょうか」
「父君は国を豊かにするために北の国の王女と結婚しろといます。
しかし私はしたくない」
「国を守ることをを思えば、東の国の王女と結婚するべきかもしれない、
しかし、私はそうしたくない」
「民のことを思えば南の国の王女を娶るべきなのかもしれないが、
私はそれをしたくない」
「長く国を維持するには西の国との関係を深めるために、
西の国の王女を迎えるべきなのだろうが、そうしたくはないのだ」
「私はどうすればよろしいだろうか」
