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幻想遊園地

第1章 シンデレラ ―The Real Story―


「馬車を出すのです、急ぎなさい」
その声は先程までのしわがれた声ではありませんでした
ハキハキとした若い女性の声です

「え?あ!・・・王妃様!」

馬子は驚きました
めったに外出なさらない王妃が、ボロのような服をまとってきたのです

「どうなさったのです」
「いいから、急ぎなさい。早く走る馬ととびきり上等の馬車を用意しなさい
 それから、ドレスと靴、化粧道具も持ってきなさい」

馬子は大慌てです
王妃の命令なのです
執事長に急いで連絡し、王妃が所望したものを揃えました

すべてのものを馬車に積み込むと、
王妃は御者に言いました

「急ぐのです。この国の将来がかかっています」

御者はこれまでで一番のスピードで王宮の丘を下りました
折しも、街中の殆どの者は王宮にいるので、
馬車はまるで矢のように進むことができました

「王妃様、いったいどうなさったんですか?
 戦争でも起きるんですかい?
 それにその格好は・・・」

「もう、格好にかまっている暇はありません
 一刻も早くあの娘を連れてこなければ
 よもや、王の触れまで破るとは思わなんだ
 なんと吝嗇な女であろうか!」

王妃は歯噛みをしているようでした
御者は町外れにある大きな屋敷につきました
この屋敷はかつて妻をなくした誠実な男性がその娘と住んでおりました
男性が後妻を娶った後に急逝し、
その後は後妻とその娘二人、
それに、もとの男性の娘が住んでいるはずでした

王妃がその家の台所に入り込むと、
そこでは、一人の若い娘が灰だらけになってかまどの掃除をしていたのです
王妃は胸をなでおろしました

「お前・・・」
王妃が声をかけると、娘はびっくりして振り向きました

「お前、なぜ王宮に行かぬ」
「あなたは?」
「私のことなどどうでも良い。王宮に行くのじゃ」

その声はもう、先程のようなしわがれた声となっていました

「でも、私は、王宮には行くなと、
 母から言われておりますので・・・」

灰を被った娘はうなだれた

「それに、こんな姿では舞踏会には行くことはできません」

日は傾き、もうすぐ夕日となりそうでした
「ええい、そなたの母の言うことなど構うではない
 お前は、お前はどうしたいのじゃ」
「私は・・・」
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