第5章 未来視
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そう笑ったシショに、博士はもちろんだと言った。
博士はその足で研究室に取って返すと、あっという間に論文を書き上げた。
そのタイトルは『青色の記憶〜児童の発達過程におけるカエラゥス・シンセシスの発生機序に関する一仮説』
その論文の中には、”図書館”の映像資料室についても触れられていた。
論文は瞬く間に話題となった。それは、残念ながらその学術的な価値ゆえではなかった。
ー古い空の色についての記憶が、すべての人の遺伝子に刻まれている。
それが話題になったのだ。
連日、最後の空を見るために、”図書館”に人が押し寄せるようになる。
そして、それがきっかけになって、『外』の環境浄化への人々の関心が大きく高まることになった。
この未来の人が、空の色を取り戻すことができるのか。
それはまた、別のお話である。