第5章 未来視
「さあ、次のアトラクションはこちらです」
ツクミが案内してくれたのは、どこもかしこも真四角の部屋だった。立方体、というのだろうか、上も下も右も左も、前も後ろもミルクを流したような色をしたガラス製の同じ正方形で囲まれている。
そして、それぞれの正方形は9つに区切られていた。
それはあたかも、ミルク色のガラス張りのルービックキューブの内側に閉じ込められたような、そんな感じといえばイメージが掴めるだろうか。そんな、不思議な部屋だった。
「ここは・・・?」
「はい、こちらは映像投影室となっております。
360度、全方向がディスプレイとなっていて、まるで別の時間、別の空間にいるかのような、そんな体験ができる・・・そんなアトラクションになっています」
「別の時間?」
「そのとおりです。
そして、今夜の演目は・・・どうやら遠い、遠い未来のお話のようですね。
準備はよろしいでしょうか?」
ボクが頷くと、部屋全体が一瞬ふわっと白い光を放った。
そして、宇宙空間のような映像が投影される。まるで、星の海に自分が浮いているかのような気分になった。
「すごい・・・」
あたりを見回してボクが呟くと、ツクミがにこりと微笑んだ。
「それでは、行ってらっしゃいませ。
遠い、遠い、これは未来のお話でございます」
その言葉とともに、上から下にものすごい速さで周囲の星たちが一斉に流れ始めた。その光景に呑まれ、ボクは不思議な浮遊感に包まれていった。
そして、周囲を取り巻く映像装置がとある部屋の情景を映し出す。
それはまるで昔のトーキー映画のような白黒の映像だった。
物語が、始まる。