第1章 シンデレラ ―The Real Story―
本当は、その時から王妃はずっと娘を見ていたのです
継母や姉にきついことを言われながらも健気に働く姿
生活の些細なところに喜びを見出す姿
姿形に惑わされずに、どんな人にも分け隔てなく接する姿
それを見ていたのでした
一方、娘を見失ってしまうと、王子はすぐに娘のことを探し始めました
西の湖の国から来た者に聞きましたが、
Cendreという王女はいないことがわかりました
それどころか、近隣の国の誰も、
この国の誰も、あのような美しい姫君に心当たりがなかったのです
皆が首をかしげる中、
王子はあの娘の正体にひとつ心当たるものがありました
王子は娘が残した靴を持って、
数名の供だけを従えて町外れの西の湖に向かいました
「ここからは一人にしてほしい」
王子は供に告げると、一人で湖の畔で待ちました
果たして、娘はいつかと同じように現れたのでした
「ここで待っていれば、あなたに会えると思っていました。
Cendreは西の国の言葉で『灰』という意味です。
失礼だが、あなたは前に会ったときも、
今も灰まみれですね。
そして、とても教養がお有りだ」
娘は目を丸くして慌ててかしずきました
「昨晩はとんだ御無礼を
誠に申し訳ありません」
王子は微笑んで、靴を差し出しました
昨晩、娘が落とした、ガラスのように美しい靴でした
「私は、この靴が最も似合う者と結婚することに
決めたのだ
あなたにぜひ試してほしい」
娘はとんでもないと受け合いました
「私は卑しい身分で、
そんな、そんな靴が似合うわけがありません
それに、け、結婚だなんて・・・」
慌てる娘に王子は優しく微笑みかけました
「あなたは私が狩りが好きで、自然が好きだと言いました
私が国を思い、ほんとうに人が愛せる人だと言いました
他の娘が、私の才能や財産、私の持ち物を褒め称えたというのに、
あなたは私を・・・私自身を見てくれました
そして、私がどうするべきか、
この背中を強く押してくださいました」
そして、王はかしずく娘のそばに跪き、その手を取りました