かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第1章 かぐや姫は好きな人に自力で会いに行く!!
「……でしたら、これを。これを換金すれば、しばらくの蓄えにはなるはずです」
そう言って彼女が差し出したのは、その細い手首や耳を飾る、美しい装飾品の数々だった。
朝の光を浴びて、それらは万事屋の埃っぽい空気の中でも、眩いばかりの輝きを放っている。
素人目に見ても、国一つ買えるのではないかと思わせるほどの、一級の品。
「おいおい……これ、全部本物かよ。お釣りどころか、万事屋のビルごと買い取れるレベルだぞ。……なんで、そこまでしてここに居ようとするんだ?」
銀時の声が低くなる。
これほどの宝を投げ打ってまで、彼女に関する記憶すらない男の側に固執する、その理由がわからず、銀時には怖かった。
「……どうして、私を忘れてしまった貴方に、その理由を話せましょうか」
は少しだけ寂しげに微笑み、それ以上は語ろうとしなかった。
ただ、縋るような、けれど強い意志を宿した瞳で、じっと銀時を見つめ、静かにお願いを繰り返すばかりだった。
「……あー、もう! 分かったよ、分かった! 負けだ、俺の負け!」
銀時は降参するように両手を上げた。
「ただし、三食昼寝付きなんて贅沢は期待すんなよ。家事労働に、定春の散歩、神楽の食欲を止めるのも、全部手伝ってもらうからな」
その言葉を聞いた瞬間、の顔に、今日一番の輝きが宿った。
「……はい。ありがとうございます」
柔らかく、花が綻ぶように微笑む彼女。
その笑顔を見た瞬間、銀時は再び胸が跳ねるのを感じ、慌てて視線を逸らした。
彼女が何を背負い、何を求めてここへ来たのか、今はまだ何も分からない。
けれど、黄金の瞳に映る自分を見ていると、銀時はどうしても「嫌だ」とは言えなかったのだーー。