かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第1章 かぐや姫は好きな人に自力で会いに行く!!
二人の驚きも無理はなかった。
歌舞伎町一のダメ男と名高い坂田銀時を、これほどまで美しく、高貴な気配を纏う女性が「自ら求めてやってきた」など、天変地異が起きるよりも信じがたいことだったからだ。
の横顔は、朝日に照らされてどこまでも透明で、真実を語る者の静謐さに満ちている。
背後で腰をさすりながら立ち上がった銀時も、自分を真っ直ぐに想ってくれる彼女の言葉に、再び心臓の鼓動が跳ねるのを止められずにいた。
「……まあ、とりあえず落ち着け。立ち話もなんだし、茶でも飲もうや」
新八が淹れた湯気の立つ茶を前に、居間には奇妙な静寂が流れていた。
は座り、湯呑みを見つめるその所作一つとっても、この薄汚れた万事屋には不釣り合いなほど気高く、美しかった。
「……もう一度言うけどよ、姉ちゃん。あんたみたいな綺麗な人が、こんな掃き溜めみたいな場所に居着いちゃいけねーよ。もっと相応しい場所があるだろ」
銀時は、あえて突き放すように言った。
目の前の女性からは、自分たちの住む世界とは明らかに違う、清廉な空気を感じる。
関われば、彼女を汚してしまうのではないか。
そんな、銀時なりの不器用な危惧だった。
「……私には、帰る家も、頼れる知人もおりません。この広い世界で、私が知っているのは……あなただけなのです」
「……っ」
寂しげに落とされたその言葉は、銀時の胸の最も柔らかい場所を鋭く突いた。
「そう言われてもよォ……うちは見ての通りの極貧なんだ。正直、自分の飯を食い繋ぐので精一杯で、あんたみたいな姫さんを養う余裕なんて、これっぽっちもねーの。新八、通帳の残高言ってやれ」
「銀さん、悲しくなるからやめてください」
銀時が頭を掻きながら現実的な問題を突きつけると、は決然と顔を上げた。