かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第4章 彼はかぐや姫を取り戻したい!!
「銀、さん……っ、銀さん!!」
一千年の祈りの呪縛から解き放たれ、ただの「人」として流す涙。
彼女は銀時の胸に飛び込み、その体温を確かめるように強く、強く抱きしめた。
銀時もまた、血に汚れた腕で彼女をしっかりと抱き寄せ、その髪に顔を埋める。
「……もう、どこにも行かせねーよ」
だが、その再会を呪う絶叫が響いた。
「貴様ら……っ! 何ということを……!!」
守り人のリーダーであった男が、怒りに我を忘れて二人へと突っ込む。
だが、月の石が破壊された今、彼の手から放たれるはずの衝撃波は霧散した。
銀時はを片腕で守りながら、向かってくる男の拳を冷徹に受け流し、その腕を捻り上げた。
「――一千年。お前もこの寂しい場所で、あいつを縛ることでしか自分を保てなかったんだろうな」
銀時は渾身の力で男を床へと叩き伏せた。
「だが、もう終わりだ。あいつはもう、お前らの神様じゃねェ。……ただの、俺たちの家族だ」
男は床に顔を埋めたまま、力を失い、ただ荒い息を吐くことしかできなかった。
銀時とが手を取り合い宮殿の回廊へ出ると、さっきまで人外のパワーで神楽や真選組を圧倒していた衛士たちが、一様に膝をつき、困惑した表情で己の手を見つめていた。
加護を失った彼らは、もはや無敵の戦士ではない。
「……あれ? 急にこいつら、弱くなったネ!」
神楽がトドメを刺そうとした拳を止め、不思議そうに首をかしげる。
「銀さん……さん!」
新八が駆け寄り二人の姿を見て安堵の声を上げた。
宮殿の至る所から、月の住人たちが姿を現す。
彼らは戦意を失い、ただただ、一千年の間自分たちの頂点にいた「姫」が、地上の侍と手を取り合って歩く姿を呆然と見送っている。
銀時とが、将軍から借りた船のタラップに足をかけた時。
彼女はふと足を止め、自分を育て、そして縛り付けてきた月の宮殿を振り返った。
そこには、自分を見つめる無数の住人たちの瞳があった。
憎しみではなく、拠り所を失った子供のような悲しげな瞳。
「……さようなら、私の故郷。……私は、彼と一緒に、人として生きていきます」
は深く一礼し、月の住人たちに最後のお別れを告げた。
その瞳にはもう悲しみはない。