かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第4章 彼はかぐや姫を取り戻したい!!
銀時が投げかけた言葉に、の瞳から一筋の光が差し込んだ。
祈りの座からゆっくりと立ち上がる。
その唇が震えながら紡いだ。
「……銀、さん……」
一千年の孤独を耐え忍んだ、愛おしいその名を呼ぶ声。
彼女の頬を止めどなく涙が伝う。
その涙は宮殿に差し込んだ、一筋の温かい雫のようだった。
だが、その再会を許さぬ影が背後から迫る。
「――おのれ、裏切り者の亡霊め!」
雷鳴のような声と共に、月衛士のリーダー格である男が銀時へと飛びかかった。
彼はかつて銀と共に彼女を護衛していた「守り人」の一人だったが、銀がを逃がしたあの日から彼は月の理に忠誠を誓い、一千年の時を経て「最強の使者」と化したのだ。
男の一撃は、空間そのものを歪ませるかのような不可視の衝撃波だった。
「ぐっ……!!」
銀時は木刀で受け止めるも人外の力には抗えず、遥か彼方まで吹き飛ばされ、宮殿の壁に激しく叩きつけられる。
「っ、銀さん!!」
が叫び、祈りの台座から降りて銀時へと駆け寄る。
男の目は、その様子を冷徹に見つめていた。
「無駄だ。貴様らは、一千年前の愚かな過ちを繰り返すだけ。貴女は月の器。そして貴様は、その器を壊そうとした大罪人」
男が再び手をかざす。
絶望的なまでに強大な力が銀時へと降り注ごうとしていた。
銀時は朦朧とする意識の中、必死にを見た。
彼女は、自らが祈りを捧げていた台座を指差している。
そこには、月光を宿したかのように神々しく輝く、巨大な「月の石」が鎮座していた。
「……っ、銀さん! あの石を……! あの石を、壊してください!!」
の声は、もはや祈りの器のそれではない。
愛する男を救おうとする、一人の女の、切実な叫びだった。
「あの石は、月の宮殿の守護を司る『力の源』! それが壊れれば、私は……私たちは、ただの人と変わる!」
月の守護を失えば、はもう「かぐや姫」ではない。
ただの一人の人間になる。
月を護るという使命から解放される代わりに、人外の力を失うのだ。
「……私は、人間になって貴方と生きたい!!」