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かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】

第3章 彼はかぐや姫に幸せになってほしかった


脱走前に銀がに贈ったのは、二本の対になった白磁の簪だった。


「……銀、これは?」

「仕事の合間に、石を削って作ったんだ。……あんたに似合うと思ってよ。本当は桜の木でも彫りたかったんだが、月にはこんな白い石しかねーからな」


銀が照れ隠しに乱暴に差し出したその簪は、月光を吸い込んで淡く輝いていた。
はそれを宝物のように胸に抱き、自分の髪に差した。



脱走の準備を整え地上の光が最も強く届く夜、銀はを連れて境界の果てまで走った。
追っ手の足音が背後に迫る中、銀は彼女の肩を強く抱きしめた。


「いいか、。地上に降りたら、俺が話したあの『桜』を探せ。そこで、好きなもん食って、好きなように笑って生きろ。……俺を待つな。あんたの自由を謳歌しろ」

「嫌です……! 銀も、一緒に来てください。貴方のいない地上なんて、私は……!」


が泣き縋る。
銀はそんな彼女の額に、自らの額をそっと合わせた。
今の銀時と同じ、天然パーマの銀髪を揺らしながら。


「……安心しろ。必ず、後から追いかける。……少し離れるだけだ。……俺が必ず、あんたを見つけ出してやる。だから……先に行ってろ」


銀はそう言って、彼女を光の渦へと突き放した。

それが、残酷な嘘になると知りながらーー。




を逃がした後銀は時間を稼ぐ為、何十人もの追っ手と対峙した。


「謀反人」として捕らえられた銀には、裁判も情けもなく冷たい処刑場の風に吹かれながら、最後に地上の蒼い星を見上げた。



(……あいつ、今頃泣いてねーかな。……ごめんな、。……幸せになれよ……)



銀の首が落ちた瞬間、地上のどこかで一人の美しい女性が空を見上げて静かに涙を流した。
彼女は、男の言葉を信じていた。
「必ず追いかける」という、その一言を。



彼女は地上の片隅で、その輝くような美しさゆえに『かぐや姫』と崇められながらも、誰の求婚にも応じずただ独り、銀色の髪の男が迎えに来るのを待ち続けていた。



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