かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第2章 かぐや姫は月に帰りたくない!!
「帰ります……。貴方たちの言う通り、月に帰りますから……。だから、もうこの人たちには、手を出さないで……っ!」
は銀時の血に汚れた彼の額に、自らの額をそっと合わせた。
彼女の涙が銀時の頬に零れ落ち、血の赤を薄く滲ませる。
は簪を抜き取り、銀時の掌に祈りを込めるように握らせる。
「……っ、……」
「……私の心は、ずっとここに置いていきます。……愛しています、銀さん。何があっても、あなただけを……」
彼女は銀時の唇に、震える口付けを落とした。
それは、二度と会えぬ覚悟を込めた切実な誓いだった。
「――穢れた未練を断ち切れ」
背後から冷酷な声が響き、使者の力強い腕がの細い腕を掴んだ。
「嫌……離して! もう少しだけ、彼の側に……っ!」
無理矢理に引き剥がされ、宙へと浮き上がる。
彼女は懸命に銀時へ手を伸ばした。
血の海に倒れ自分を見つめる銀時の、あの紅い瞳に向かって。
「銀さん!…… 銀さんっ!!」
泣き叫ぶ彼女の姿は、渦巻く月光の柱に呑み込まれていく。
天へと昇る光は無慈悲で、伸ばされた指先空を掻く。
「……待て……。行くな……、……っ!!」
銀時は薄れゆく意識の中で、消えゆく光を見上げ手を伸ばしたが、夜空を裂いた光の道が消え、冷たく澄み渡った月だけが残された。
銀時の掠れた叫びも虚しく、の姿は、冷たく美しい月光の柱の中に消えたのだったーー。