かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第2章 かぐや姫は月に帰りたくない!!
狂乱の光が吹き荒れるステージの上で、万事屋と真選組は、文字通り「人智を超えた」力に翻弄されていた。
使者たちが指先を払うたびに、不可視の衝撃がコンクリートを砕き、銀時たちの身体を無慈悲に跳ね飛ばす。
土方は脇腹を深く切られ、沖田のバズーカは分解され、神楽でさえもその怪力を封じられ膝をついていた。
「………やめて……! もう、やめてください……っ!」
ステージの中央で、の悲痛な叫びが響く。
自分を守ろうとしてボロボロになっていく姿に、その瞳からは涙が溢れ出していた。
銀時は、全身の骨が軋むような衝撃に耐えながら、血に濡れた木刀を杖にして立ち上がった。
その前に、最も冷徹な眼差しをした使者のリーダーが、音もなく降り立つ。
「……しぶとい男だ。地の猿にしてはな」
使者は目の前の銀時を値踏みするように見つめていたが、ふとその視線が、決して折れないあの紅い眼光に留まった。
「…………。……『銀』、か」
「……あァ?」
聞き慣れたはずの自分の名の一部を、その人ならざる者が呟いたことに、銀時は微かな戦慄を覚えた。
「また、お前は邪魔をするのか。……かつて月で、貴様は姫様を唆して、穢れた地に送った」
「……何、言ってやがる……。俺は、てめーらなんて、知らねェ……っ!」
「お前が忘れていようと関係ない。貴様は、我らから姫様を盗んだ『大罪人』だ」
使者の指先が、流星のような速度で銀時の胸元を貫き、紅い鮮血が舞い、銀時の身体が力なく崩れ落ちる。
「ぐっ……、が……はっ!!」
「銀さん!!!」
倒れ伏し、動かなくなった銀時を見て、の中で何かが音を立てて崩れた。
「……もう、いい。……もう、やめて!」
は自分を掴もうとする神楽の手を振り切り、使者と銀時がいる方へと駆け寄った。
「さん、ダメだ! 僕らが……っ!」
「……行っちゃダメアル……!」
新八や神楽の制止の声もには届かない。
彼女は血の海に沈む銀時のすぐ傍に跪き、震える手で彼の頬に触れた。
「……ごめんなさい、銀さん。……私のせいで、貴方を…また、傷つけてしまった」
黄金の瞳は絶望に染まり、月からの迎えを受け入れる覚悟を固めていた。