かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第1章 かぐや姫は好きな人に自力で会いに行く!!
「着飾ってこい」というお妙の指示を受け、が奥から姿を現した瞬間、店内の空気が凍りついた。
彼女が纏っていたのは、出会った夜に着ていた、あの浮世離れした着物ドレス。
彼女の美しさも相まって、この世のものとは思えない神々しさを放っている。
「……お、おい。これ、スナックのレベル超えてるだろ。銀河系の社交界かよ」
「銀さん、完全に浮いてます。美しすぎて周り全てが背景になってますよ!」
そこへ、店の奥から聞き覚えのある、豪快な笑い声が響いた。
「ガッハッハ! いいじゃねぇか。おい若造、この新しい娘を俺の席に呼びな」
「……と申します。粗相のないよう努めますので、よろしくお願いいたします」
が松平片栗虎と、顔を真っ赤にして固まっている徳川茂茂の前に座った。
「ほう……。か。いい名だ。どうだ、気に入らない奴がいたら、俺がいつでも撃ち抜いてやるぜ。……おい、若、鼻血が出てるぞ」
松平が上機嫌でブランデーを揺らす。
一方、将軍はの黄金の瞳に見つめられ、キャパシティを越えていた。
「……余は……余は、これほど美しい月を、地上で見たことがない……」
「将軍様、落ち着いてください! 徳川の血筋が鼻血で絶えちゃいますから!」
女装している新八が慌てておしぼりを差し出すが、は首を傾げ、純粋な瞳で彼らを見つめる。
「将軍様?……この江戸で一番偉い方なのですか?」
は、鼻血を出しながら硬直している将軍・茂茂の目をじっと見つめ、静かに、けれどどこか憐れむような黄金の瞳を向けた。
「将軍様……。その双肩に、どれほどの重荷を背負っておいでなのでしょう。今日ばかりは、その衣と一緒に、窮屈な理も脱ぎ捨てて……どうか、楽しんでくださいませ」
「……殿……。余の孤独を、左様に……」
茂茂が震える声で感銘を受けた、その瞬間だった。
「よし! しんみりすんのはここまでだ! 景気良くいくぜ、……『将軍ゲーム』だァァ!!」
松平の合図で、スナック「すまいる」は一気に修羅場へと変貌した。
運命の割り箸が振られ、将軍が色んな数字を引き当てるたびに、なぜか彼は衣を一枚、また一枚と失っていった。