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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第5章 彼女は七海建人と幸せに暮らしたい


通話が切れた後、部屋には静かな潮騒の音だけが戻ってきた。
七海はしばらく画面を見つめていたが、やがてふっと穏やかな顔で私を振り返った。


「……行きましょうか。今日は良い夕焼けになりそうです」


二人は手を取り合い、家のすぐ近くにある海岸へと歩みを進めた。



空は燃えるようなオレンジ色から、深い紫へと溶け合おうとしている。
水平線に沈みゆく太陽が、海面を黄金色の道のように染め上げていた。


「綺麗……」

「ええ。本当に」


七海はの歩調に合わせてゆっくりと歩き、砂浜で立ち止まると、彼女の肩を抱き寄せた。
少し大きくなった彼女のお腹を、慈しむように大きな掌が包み込む。


「さん。あの時、貴方が私を連れ出してくれたおかげで……私は今、こうして、呪いではなく『祈り』の中で、明日を待つことができています」


黄金色の光に照らされた彼の横顔は、かつての術師としての険しさを完全に拭い去り、愛する人を守る一人の男の、深い慈愛に満ちていた。


「建人さん……私の方こそ、貴方が生きていてくれて、本当に幸せです。……この子に、早くこの景色を見せてあげたいですね」
「ええ。きっと、貴方に似た……美しい瞳を持つ子になるでしょう」


七海は、の額に優しく口づけを落とした。


呪力も術式も、物語の知識も、もう何もない。
けれど、ここにあるのは、指先から伝わる確かな体温と、寄せては返す波の音。
そして、これから積み重なっていく、穏やかで甘い家族の時間。



「愛しています、さん。……明日も、その先も、ずっと」


「私も、愛しています。建人さん」



黄金の夕闇に包まれながら、二人のシルエットが一つに重なる。



書き換えられた運命の果てに、二人は最高の、そして最愛の『日常』を抱きしめていたーー。






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