彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第5章 彼女は七海建人と幸せに暮らしたい
地下の冷気に、腐濁した呪力の臭いが混じる。
真人の指先が、七海の背中に触れようと伸びる――その、永遠にも等しい一瞬。
(今……っ!)
は隠し持っていた呪具を強く握りしめた。
それは、任意の座標へと強制的に因果を繋ぐ、一度きりの転移具。
彼を助ける願いを決めた時に用意したものだった。
呪力のないには、もはや身を護る術はない。
けれど、この手に残る一瞬の温もりさえあれば、運命は書き換えられる。
「建人さん!!」
真人の手が彼の魂を捉えるより、わずかに早く。
は全力で踏み出し、ボロボロになった彼の体に飛びついた。
「っ、何だこいつ――!?」
急に現れた人間を見て驚愕に目を見開く真人の顔が、視界の端でスローモーションに流れる。
彼の手が空を切り、代わりにの指先が七海の腕を掴んだ。
(家入さんのところへ……!)
強く念じた瞬間、視界が歪んだ。
背後で虎杖が叫ぶ声も、真人が舌打ちする音も、すべてが遠い世界のノイズへと変わるーー。