彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第1章 彼女は七海が幸せになってほしい
呪術高専の放課後、静まり返った談話室だった。
シャーペンが紙を走る音と、重苦しい溜息だけが響いていた。
「……ダメだ、これ。伊地知くん、この術式の構成、さっぱり解けない」
「わ、私もですさん……。演習レポート、難易度が高すぎますよぉ……」
1年生のと伊地知は、机に積み上がった課題を前に、すっかり魂が抜けかかっていた。
「おーい! ちゃんに伊地知くん、まだ頑張ってるのかい!」
弾んだ声と共に入ってきたのは、満面の笑みを浮かべた灰原。
その後ろから、いつものように冷静な七海が続いる。
「灰原先輩! 七海先輩も!」
が顔を上げると、灰原は机を覗き込んで「うわぁ、難しそうだね!」と目を丸くした。
「七海、これ僕らの時より難しくない? ちゃんたちが可哀想だよ!」
「……そうですね。多少、嫌がらせに近い難易度です。貸しなさい、さん。ここは基礎の導き出し方が間違っています」
七海は隣に腰を下ろすと、のノートにさらさらと正解への道筋を書き込んでいった。
「さすが七海! 頼りになるなぁ!」と灰原が自分のことのように胸を張り、は思わず笑みをこぼした。
「ありがとうございます、七海先輩……。本当に助かります」
「礼には及びません。……ただ、あまり根を詰めすぎないように。あなたは集中しすぎる癖がありますから」
七海はそう言うと、の頭にポン、と軽く手を置いた。
いつも落ち着いていて、大人な雰囲気に憧れてるは、彼に頭を撫でられ顔を赤くしたのだった。
そんな光景を、少し離れた廊下の影から眺めている3人組がいた。